パイロットの「フリクションボール3」が、ようやく正式に発表された(公式サイト)。
東急ハンズなどの文房具ショップでは少し前から販売されていたので、ネット上では既に複数のレビューを読むことができる。トンボの「リポータースマート」もそうだったが、最近よくあるパターンだ。全国的な商品配備が終わるまでメーカー側がプレスリリースを延ばしているのか、お店側が発売開始日を待ちきれずにフライングしてしまうのか。あるいはそのどちらでもなくて、先行販売による口コミの盛り上がりを期待しているのか。
さておき、発表されたこのボディに対して「太い」「ダサい」といったコメントが散見される一方で、販売店では猛烈な勢いで売れている様子も伺える(「無罫フォント」さんの記事)。フリクションについては当初から多色タイプへの強いニーズがあった。パイロット側も当然認知してはいたものの、特殊インクのため新しいリフィルを設計しなくてはならない、というような開発者インタビューを見かけた記憶がある。
発表が今になったのは、あるいは偶然かもしれないが、「消せるボールペン」が最も能力を発揮する「手帳」の発売シーズンにぶつけようというマーケティング戦略のようにも思われる。最初はキャップ式、細字化、高級軸、ノック式…と少しずつ新製品を発表し、その度に話題を作って開発費をコツコツ回収してきたパイロットの煽り戦略。この「フリクションボール3」は最終兵器に近い。年末年始、文房具界では記録的なヒット商品になることだろう。
真面目にスペックを検証すると、確かに本体はぽっちゃり太めだ。ぱっと見たルックスは同じパイロットの「4+1 LIGHT」に近い。多色ボールペンでも細身タイプが人気の今日この頃、特に女性向けにはやや厳しいかもしれない。手帳のペン挿しにも入らないだろう。そこで、クリップはノートや手帳をつまんで挟む「リフトクリップ」になっている(ゼブラでいう「バインダークリップ」)。個人的には、このクリップは便利だなと思う時と邪魔だなと思う時が半々くらいで、やや微妙な存在なのだが、噂によると簡単に取り外せる機構になっているらしいので期待してみよう。
リフィルは「LFBTRF」で、現時点ではボール径0.5mmのみ。全長87.5mm、最大径3.6mmの独自形状ということで、他の多色ボールペンの類とは互換性がない。フリクションにはペン後ろの消去用ラバーが必須なので、他の軸に入れても実際のところあまり意味が無い。ちなみに「フリクションボール3」では、このフリクションラバーのパーツが取り外し可能なねじ式になっている。磨耗時の交換用なのだろう。少なくとも自分自身は、これまでラバーが磨耗するほど字を消したということはないが…。
リフィルは3本セットでの販売のみ。その点は「フリクションボールノック」と同じだが、新たに「黒・赤・青」各1本での3本セットができた。面白い売り方だと思う。どのインクが先に切れるかわからない状況で、赤3本とか、青3本とか買うのに抵抗がある人でも、黒赤青セットなら何となく買っとこうと思ってしまうかもしれない。現実的には、リフィルを細くしたことにより相当なスピードでインクを消耗するはずなので、ヘビーユーザーは替芯を常備しておく必要があるのは間違いない。メーカーとしては当然このリフィル需要でコストを回収していくはずで、3本セットを定着させつつあるパイロット戦略のしたたかさを感じる。
「たこぶろぐ」さんの記事ではさらに、分解したパーツを色違いの軸で組み合わせれば、オリジナルの特製カラーバージョンができるとも紹介されている。冗談かと思いきや、実は女子高生の間でウィルコムのPHS「HONEY BEE 3」の電池蓋を交換し合って、オリジナルのツートンカラー端末にしちゃうのが流行しているというTV番組を見たことがある。この番組自体がウィルコムの宣伝だったんじゃないかという疑惑はさておき、ひょっとすると局地的にウケるかもしれない。
フリクションは、実は日本だけでなく世界中で(特に欧州で)記録的なヒット商品になっている(朝日新聞GLOBE 2011.11.20記事)。ヨーロッパでは、文字を書くときにあまり鉛筆を使わない。万年筆かボールペンが中心の市場で、高価格にもかかわらず大きなシェアを勝ち取ったパイロットの技術と営業力に驚かされる。個人的にはBIC(特にオレンジ)の大ファンなので、記事後半のBIC社CEOの発言にもうなずけるものがあった(全世界でボールペンなど文具を1日に約2400万個売るって半端じゃない)。
まだまだ続くであろうフリクションシリーズの進歩と進化を、愛用者の一人として静かに見守りたい。
フリクションボール3、正式発表
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