紙か、電子か。

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SEIKO IC DICTIONARY SR-M7000 (16コンテンツ, 英語充実モデル, コンパクトサイズ)SEIKO IC DICTIONARY SR-M7000 電子辞書 (国語系5辞書+英語系8辞書+英語系学習書3種)
この4月から、シンガポール赴任前の語学研修として、毎週2時間赤坂のベルリッツで英語の個人レッスンを受けている。ベルリッツ・メソッドは世界共通。簡単に言うと、頭の中で翻訳しないのが特徴だ。まるで赤ん坊が言葉を覚える時のように、ある「物」とその外国語での「意味」とが直接頭の中で結びつくように指導してくれる。言語のシャワーというのか、例えばレッスンではインストラクターが間髪を入れず質問を投げかけてくる。頭の中で翻訳する時間がないまま答えざるを得ない、「物」と「意味」のダイレクトな結合が実現されていくという理屈だ。

一度体験するとなかなかの快感なのだが、これまで以上に英英辞書を引きこなす必要も生じる。僕は POCKET OXFORD の英英(ハードカバー)を持っているが、常に携帯して調べるというのは難しい。そこで、泣く泣く電子辞書を購入することにしたのだった。

どうして「泣く泣く」かというと、個人的には圧倒的に紙の辞書に愛着があるから。愛着だけでなく、辞書を引き、関係ない単語の意味まで眺めながら時間をやり過ごす行為自体を大切にしてきたから。とはいえ、背に腹は変えられないので、量販店でパンフを集めて徹底的に比較検討した。重視ポイントは「語学系辞書の収録がしっかりしていること(生活実用系は不要)」、「小さくて軽いこと」、「操作性が良いこと」、「電池が持つこと」、そしてもちろん「価格が手頃なこと」。

 結果として、シェアトップ級のシャープやカシオ計算機のモデルではなく、セイコー(SII)の SR-M7000 というモデルを購入することになった。ちなみにぎりぎりまで迷ったのはキャノンの WORDTANK G50。量販店の売れ線からは遠く離れたオルタナティブなモデルばかりだ。

SR-M7000 はすこぶる気に入った。長所はいくつもあるが、第一に小さいこと。ワイシャツの胸ポケットに収まります。145gと軽量なので、かばんに入れっぱなしでも全然気にならない。単四電池たった1個で70時間も駆動する点も好ましい。 もちろん語学系辞書が充実していることが売りだが、ここまで必要なければワンランク下のモデル(SR-M4000)でも十分だろう。

キーボード左上にある十字キーの操作性の良さも特筆に価する。本体の軽さと重心バランスがよく計算されているので、左手だけでホールドし、この十字キーで検索することが可能。パンフレットには電車内で立ったまま電子辞書を使う写真が掲載されている。

強いて難点を挙げるなら、液晶の美しさという点ではシャープあたりには負けているかもしれない。とはいえ所詮モノクロ液晶だし、実用的には全く問題ないと言い切れる。

電子辞書を使ってみた感想は、やはり紙の辞書には一覧性では絶対に勝てないと思う。引いた語句の周辺にある関連語まで勝手に目に飛び込んでくる効果は思いのほか大きい。しかし電子には電子の良さがある。小さくてどこでもすぐ調べられるのはもちろんだが、調べた語の解説文中に分からない単語があった場合、すぐにジャンプしてその意味を引ける機能がある。 無数に文中リンクが張られているイメージに近い。しかも国語辞典、英和辞典、英英辞典などが縦横無尽につながっているため、ひとつの単語からいろいろな辞書に飛ぶことができる。言葉から言葉へと、どんどん語義を調べながら移り渡っていく感覚を、キャノンのパンフでは「ワードサーフィン」と称していましたが、言い得て妙だろう。

時代は変わり、モノ自体も変わっていく。モノを増やすことは決して悪というわけではない。シンプルライフが心地良いことよく分かっているが、頑なにそれに縛られる必要もない。自分に真に必要なものであればそれを手に入れて、人生をより快適にしていくのもまたよいことなのだろう、と考えを改めつつある。

30歳のキャンパスノート

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文房具は、「コトバ」を使う生き物である人間にとって必要不可欠な道具だ。だからこそ、そこには様々な工夫とアイディアが投入されているし、他の道具以上に使い手としての思い入れも深まる。

キャンパスノートといえば大学ノートの定番だが、コクヨのニュースリリースによると、発売から30周年を迎えたという。つまり発売開始は1975年。ベトナム戦争が終わり、広島カープが優勝した年で、僕なんてまだ5歳だった。「定番」ではあるが、もちろん30年の間には何度か大きなモデルチェンジが行われている。

写真でいうと、一番左が1975年の初代モデル、その右隣が1983年の2代目モデル、その隣は1991年の3代目モデル、一番右端が2000年の4代目モデル(最新型)になる。

今、ざっと手持ちの大学ノートを調べてみたら、3代目と4代目が残っていた。また、2代目は中学・高校・大学時代に相当使った懐かしいデザインだ。初代の記憶は曖昧だが、まだ小学生で、本格的に大学ノートを使い始める前だったのだろう。累計17億冊を出荷した大ベストセラーだけあって、洗練されたデザインと、確かな品質に裏打ちされている。 

「大学ノート」という名前の由来は何か。

コクヨによれば現在の学習用ノートの原型が誕生したのは1884年で、帝国大学(現在の東京大学)の前にあった「まつや」という店で製造・販売されたものだという。糸綴じ製本でグレーの表紙、中はクリーム紙で罫が引いてあったそのノートを帝大の学生がこぞって買い求め、いつしか店側が「大学ノート」と名づけて売り始めた。コクヨが「キャンパス」と銘打ったのも、このような歴史的な流れを意識してのことかもしれない。 

コクヨは、キャンパスノート30周年を記念して、特別に昔のデザインを数量限定で復刻販売するという。4つのデザインを1冊ずつパッケージしたセットで、最新版の2000年型モデルについては特殊加工のメタリックカラーになっている。 学生の頃に比べて最近はノートを使わなくなった。だが、自分の手で何かを書く、という行為は頭の中を整理する意味ですごく大切だと思う。PCのエディタで文章書くのとは全然性質の違う何か。そこには「余白」がある。

懐かしいキャンパスノートの表紙デザインを眺めながら、授業中にノートの余白に好きなバンドのロゴとか歌詞とか落書きしていたあの頃を思い出した。